日本型の給付つき税額控除

1.はじめに

 3/2付の日経新聞に、給付つき税額控除には4つのモデルがあることが書かれていました。これから国民会議で議論されますが、日本の現状にふさわしい制度について考えてみました。

2.4つのモデル

(1)アメリカ型
 働けば働くほど給付が増える、主にワーキングプア対策の仕組みです。
 (長所)勤労意欲の向上、生活保護からの脱却
 (短所)働いていない人への給付なし
(2)イギリス型
 所得が少ない人に多く給付する負の所得税です。
 (長所)受給漏れを防ぎ、リアルタイムの給付
 (短所)行政コスト増大 (マイナンバーの高度な活用)
(3)カナダ型
 消費税の逆進性を和らげ、低所得者に還元する仕組みです。
 (長所)制度がシンプルで公平性を確保
 (短所)払い戻しの面が強く、自立支援効果は限定的
(4)フランス型
 低所得者にとって重い社会保険料の負担を軽くする仕組みです。
 (長所)低所得者の社会保険料負担を実質ゼロに近づけ、手取りを増やせる
 (短所)財源が不透明、制度設計が難しい

3.日本型はどうする?

 さて、日本は、ネックになっている年収の壁社会保険料の壁をどうクリアするかの難題に直面しています。海外のモデルを参考に制度設計のヒントを考えてみます。
(1)働けば働くほど手取りが増える
 アメリカ型の勤労意欲向上とフランス型の社会保険料負担軽減を合わせて、106万円・130万円の壁を取り払います。
(2)困っている人への給付漏れ対策
 日本の申請主義は終わりにして、マイナンバーと公的資金の受取口座を紐づけします(イギリス型)。
 さらに、生活の最低ラインを支えるために、消費税負担分を四半期ごとに給付すれば心理的な安心を提供できます(カナダ型)。  要は、働くと損をする仕組みをなくし、預貯金の残高を把握して不公平感をなくす方向への設計が求められます。

4.むすびにかえて

 今の65歳~70歳は元気な人が多く知識や経験も豊富です。人生100年時代、年齢で一律に線引きするのは日本にとって大きな損失です。本人の希望で何歳になっても働ける柔軟な雇用形態を促進すべきと考えます。いつまでも働くことで認知症の予防や健康寿命の伸びに貢献し、まわりまわって医療と介護費用の増大を抑制する処方になります。
 子は国の宝です。節減された財源で子育て世帯の支援や教育の完全無償化に振り向けられます。
 加えて、エネルギー価格の高騰は貧困層を直撃し、日本の競争力を奪います。選挙目当ての対策に終わることなく、今こそ、政府は国家百年の計を立て国民に示す時だと思います。