父親から相続した借金が免除されたことで、遺族が経済的な利益を得たとして所得税を課せるか。6月23日の最高裁判決で「免除益は相続の後で発生したものなので所得税はかかる」として、二審の東京高裁の判決を破棄し、審理を差し戻しました。これは実質的な国側の逆転勝利となります。
債務免除益は、帳簿上で借金が消えて純資産が増える経済的利益ですが、手元資金は1円も増えていません。これを一時所得として重い所得税・住民税が課せられると、相続人はどこからか納税資金を捻出してこなければなりません。
この事例は、相続開始の時点で債務控除が認められていれば相続税が安くなった分だけ手元に納税資金 (現金) が残っていたはずです。しかし現実は「相続税は安くならない」「後で現金が入らない債務免除益に課税される」というダブルパンチです。 経営の現場であれば黒字倒産に近い精神的・資金的な苦痛を納税者にかけることになりました。
そもそも税金は担税力に応じて課税するというルールがあります。最高裁は借金が消えたのだから税金を払う必要ありと判断しましたが、現場実務の人間からすれば、借金が消えても手元に納税資金はないというのが本音だと思います。今後のアドバイスとして、会社整理等で免除される見込みの借入金があれば、生前に債務免除の手続きを完了させておくようにしましょう。これで最悪のシナリオを防止することができます。
今回の、法律を優先して現場の資金を無視する最高裁の判断に憤りを感じます。私はむしろ相続税は廃止すべきと考えています。なぜなら (1)富裕層を潰しても社会は貧困化する これは歴史の事実です。GHQの指導により長子相続が廃止され財産が法定相続分として細分化されるようになりました。これによる結果生じたのが、中小企業の株式分散による経営権の混乱や農地の細分化による農業の衰退です。 (2)今や10%超え・相続課税 かつてはごく一部の超富裕層だけの相続税は、2015年の基礎控除引き下げ以降、課税割合は都市部を中心に10%を超えました。普通のサラリーマンがまじめに働き、住宅ローンを返済して建てたマイホームまで死後に課税対象になるのは、これが二重課税以外の何物でしょうか。 (3)役人の感覚と担税力の崩壊 官僚は毎月決まった身分保障のある給与の中からリスクをとって資金繰りに奔走した経験がありません。だからこそ生活費を削って納税資金を捻出する現場の血のにじむような苦しみが理解できません。そのため「借金が免除されて帳簿上の純資産が増えたから担税力はある」という机上の空論となり、現実を完全に無視しています。「納税資金のない課税は、国家による合法的な掠奪だ」が私の結論です。
1.はじめに
父親から相続した借金が免除されたことで、遺族が経済的な利益を得たとして所得税を課せるか。6月23日の最高裁判決で「免除益は相続の後で発生したものなので所得税はかかる」として、二審の東京高裁の判決を破棄し、審理を差し戻しました。これは実質的な国側の逆転勝利となります。
2.勘定合って銭足らず
債務免除益は、帳簿上で借金が消えて純資産が増える経済的利益ですが、手元資金は1円も増えていません。これを一時所得として重い所得税・住民税が課せられると、相続人はどこからか納税資金を捻出してこなければなりません。
3.ダブルパンチの資金枯渇
この事例は、相続開始の時点で債務控除が認められていれば相続税が安くなった分だけ手元に納税資金 (現金) が残っていたはずです。しかし現実は「相続税は安くならない」「後で現金が入らない債務免除益に課税される」というダブルパンチです。
経営の現場であれば黒字倒産に近い精神的・資金的な苦痛を納税者にかけることになりました。
4.課税の原則:担税力
そもそも税金は担税力に応じて課税するというルールがあります。最高裁は借金が消えたのだから税金を払う必要ありと判断しましたが、現場実務の人間からすれば、借金が消えても手元に納税資金はないというのが本音だと思います。今後のアドバイスとして、会社整理等で免除される見込みの借入金があれば、生前に債務免除の手続きを完了させておくようにしましょう。これで最悪のシナリオを防止することができます。
5.むすび
今回の、法律を優先して現場の資金を無視する最高裁の判断に憤りを感じます。私はむしろ相続税は廃止すべきと考えています。なぜなら
(1)富裕層を潰しても社会は貧困化する
これは歴史の事実です。GHQの指導により長子相続が廃止され財産が法定相続分として細分化されるようになりました。これによる結果生じたのが、中小企業の株式分散による経営権の混乱や農地の細分化による農業の衰退です。
(2)今や10%超え・相続課税
かつてはごく一部の超富裕層だけの相続税は、2015年の基礎控除引き下げ以降、課税割合は都市部を中心に10%を超えました。普通のサラリーマンがまじめに働き、住宅ローンを返済して建てたマイホームまで死後に課税対象になるのは、これが二重課税以外の何物でしょうか。
(3)役人の感覚と担税力の崩壊
官僚は毎月決まった身分保障のある給与の中からリスクをとって資金繰りに奔走した経験がありません。だからこそ生活費を削って納税資金を捻出する現場の血のにじむような苦しみが理解できません。そのため「借金が免除されて帳簿上の純資産が増えたから担税力はある」という机上の空論となり、現実を完全に無視しています。「納税資金のない課税は、国家による合法的な掠奪だ」が私の結論です。